2017年08月17日公開

MECEとは?意味や例・うまく考えるためのコツ

MECE(読み方:ミーシー・ミッシー)とは、Mutually Exclusive collectively Exhaustiveの略であり、「お互いに重複がなく・全体に漏れがない」状態という意味です。ここでは、MECEに考えることの必要性とともに、コツや例を示してMECEに考えるための基本を説明しています。

MECE(読み方:ミーシー・ミッシー)とは?

MECEとは、Mutually Exclusive collectively Exhaustiveの略であり、「お互いに重複がなく・全体に漏れがない」状態という意味です。

ビジネスのシーンで求められるロジカルシンキング(論理的思考)の基本の考え方であり、かつ、最も重要な考え方とされています。MECEという言葉は、

  • Mutually(互いに)
  • Exclusive(排他的に)
  • Collectively(集合的に)
  • Exhaustive(完全な、包括的な)

の頭文字から来ています。元々は「相互に排他的で」「完全な集合」を意味しており、つまりは 「お互いに重複がなく・全体として漏れがない」状態を指しています。

MECEについて図で説明します。

 

セキツイ動物を分ける場合、

  • ①のように哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・魚類と分けると、重複なく漏れがない(MECE)の状態
  • ②のように哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・魚類・肺呼吸・エラ呼吸と分けると、漏れはないが重複がある状態。
    肺呼吸が哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類と、エラ呼吸が両生類・魚類と重複しています。

哺乳類を分ける場合、

  • ③のようにイヌ・ネコ・ウマと分けると、重複はないが漏れがある状態。
    イヌ・ネコ・ウマに重複はないが、ヒト・ウシ・サルなどその他のいくつもの種が漏れている。
  • ④のようにイヌ・チワワ・ダックスフント・ネコ・アメリカンショートヘア・ウマと分けると、重複もあり漏れもある状態。
    イヌとチワワ・ダックスフントが、ネコとアメリカンショートヘアが重複しており、ヒト・ウシ・サルなどその他のいくつもの種が漏れている。

なぜMECEに考えると良いのか?なぜMECEでないといけないのか?

MECEに考えることは単純化させること

なぜ論理的に考えるためにはMECEが重要なのでしょうか?例えば複雑な物事を考える際には対象を分解することで、単純化させることができます。対象を分解し、項目を洗い出したり整理するときにMECEに考えることが必要になるのです。複雑な物事をそのまま考えるのは難易度が高く、ミスも起きやすくなります。

MECEに考えられないと検討漏れ・非効率を生む

では、なぜMECEでないとまずいのでしょうか?複雑なままでも考えることができれば分解せずにそのまま考えれば良いのでしょうか?

重複を無くすことは無駄を省き効率化にすることに繋がります。また、漏れを無くすことは視点や項目の欠落によって致命的な問題が発生することを防ぎます。ビジネスにおいて、重複を省き、漏れを排除するということは限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ)で最大の効果・業績を生みだすために、なくてはならない考え方なのです。もちろんMECEに全ての対象を検討した上で、実際には何から手をつけるのか?は改めて検討すべきことです。

例えば、営業部の売上を増やしたいと思った際、何を見直せば全体の売上が上がるでしょうか?

  • 顧客単価?
  • 顧客数?
  • 購入頻度?
  • 営業マン一人当たりの売上?
  • 営業マン数?
  • ・・・
  • ・・・

このように、営業部全体の売上アップに関係のありそうな項目はいくつもあり、闇雲に列挙すると、これで全て網羅できているのか?重複しているものはないのか?確かめることが出来ません。売上を構成するものを網羅的に列挙した上で、何を見直すのが最も効果的に営業文全体の売上をあげることができるのか?を検討するためには、MECEの考え方が必要になります。

MECEに考えるためのコツは?

MECEの意味・必要性が理解できたところで、次はMECEを使いこなせるようにならねばなりません。MECEに考えるためのコツについて説明しましょう。

MECEに考えるためのコツ①4つの切り口を知る

MECEをに考えるには切り口のパターンを理解する必要があります。MECEの切り口としてよく使われるのは次の4つです。どんな対象をどの切り口で分解するのが適切か?どんな結果を求めるためにどの切り口を選ぶのか?はとても重要です。

  • 要素分解
  • 時系列・ステップ
  • 対象概念
  • 因数分解

それぞれ切り口にはいくつかのフレームワークがあり、そのフレームワークに沿って考えるのがのが一般的です。各切り口でよく使われるフレームワークを一覧化してみました。

要素分解のフレームワーク

  • 経営資源:ヒト、モノ、カネ、情報
  • 3C:
    Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)
  • 4P:
    Place(場所・チャネル)、Price(価格)、Product(商品)、Promotion(販売促進)
  • SWOT分析:
    Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)
  • PEST分析:
    Political(政治・法律)、Economic(経済)、Social(社会)、Technological(科学技術)

  など

時系列・ステップのフレームワーク

  • 過去・現在・未来
  • 短期・中期・長期
  • バリューチェーン(商品開発、調達、生産、販売、物流、サービスなど)
  • 製品ライフサイクル(導入期、成長期、成熟期、衰退期)

  など

対象概念のフレームワーク

  • 効果/効率
  • 質/量
  • 事実/判断
  • 固定/変動

  など

因数分解のフレームワーク

  • 売上=顧客単価×顧客数×購入頻度
  • 売上=従業員1人あたりの売上×従業員数
  • 利益=(顧客単価 - 顧客獲得コスト - 顧客原価)×顧客数

  など

MECEに考えるためのコツ②階層を混ぜない

「漏れないように・・」と考えるがあまり、階層(レイヤー)が混ざってしまうことがよくあります。階層が混ざるというのは、対象の包含関係を正しく捉えられていない時に起こります。

例えば、脊椎動物を洗い出すとします。

哺乳類、爬虫類、両生類、魚類、鳥類、イヌ、ネコ、チワワ、ゴールデンレトリバー、アメリカンショートヘア・・・

と洗い出したとします。ここには複数の階層が混ざっており、重複が発生しています。

【第1階層】 哺乳類・爬虫類・両生類・魚類・鳥類

【第2階層】 イヌ、ネコ(第2階層の哺乳類に包含されるので、重複している)

【第3階層】 チワワ、ゴールデンレトリバー、アメリカンショートヘア・・・

(それぞれ、第2階層のイヌ、ネコ、に包含されるので重複している)

 

闇雲に対象を洗い出すと複数の階層を混同してしまうため、それぞれの階層を意識して洗い出すことがMECEに考えるためのコツです。

MECEに考えるためのコツ③同時に複数の切り口を混ぜない

ある切り口で対象を分類している際に、同時に全く別の切り口で分けた対象を混同してはいけません。

例えば、日本人を出身都道府県という切り口で洗い出しているにもかかわらず、

  • 北海道
  • 東京
  • 大阪
  • 10代以下
  • 20代
  • 30代

というふうに全く別の切り口(この場合は年齢別)を混同すると漏れが発生しやすくなります。

このように同時に複数の切り口を混ぜることは漏れを発生させやすいため避けるべきです。しかし、一つの切り口で対象を整理した後、さらに別の切り口で整理するということは必要な場合があります。上記の例であれば、出身都道府県で分けた後、各都道府県出身者を年齢帯対ごとに分けるといった場合です。今はどの切り口で対象を分けているのか?を意識するようにしましょう。

MECEに考えるためのコツ④MECEになっているかどうか人に見てもらう

自分で、MECEに整理した際、どんなに見返しても自分では重複や漏れ、階層の混同、切り口の混同に気づかないことがあります。そんな時は自分以外の誰かに見てもらうことで、案外簡単に気付けたりするものです。初めから複数人でMECEに考えることうあ、自分で考えたものをお互いに見るなどすることで精度は上がっていきます。

正しくMECEになっている例

重複なく漏れがない例

まず、法人顧客か個人顧客かという切り口で分けたのち、それぞれを国内旅行か海外旅行かという2つの切り口で分けると4つの顧客郡に分けられ、これであれば重複も漏れもなく自社の顧客郡を分けることができたと言えます。上記のコツ③で解説しているように、一度個人/法人の切り口で分けた後、行き先という切り口で分けています。

MECEになっていない例

MECEに考えるコツが分かったところで、例を見てみましょう。法人・個人それぞれに国内旅行・海外旅行を販売している旅行会社が、売上アップのためにどの顧客群をターゲットとしたら良いか?を検討するとします。まず、自社の顧客群を分解するためにMECEに分ける場合のことを考えてみましょう。

重複はないが漏れがある例

例えば顧客を新規顧客群と、既存顧客群の2つに分けたとします。すると、過去取引顧客群が漏れていることになります。

漏れはないが重複がある例

次に顧客を新規顧客郡、既存顧客郡、過去取引顧客郡、海外旅行を予約している顧客群の4つに分けるとします。すると、既存顧客群と海外旅行を予約している顧客群は重複していることになります。これはコツ②で示した通り、階層が混ざっているために起きた重複です。

重複も漏れもある例

今度は既存顧客群を、分ける場合です。個人顧客と、国内旅行を予約している顧客という分け方をしたとします。すると、国内旅行を予約している個人はどちらにも当てはまるため重複しており、また、海外旅行を予約している法人はどちらにも当てはまらず漏れていることになります。

ビジネスシーンにおけるMECEの必要性

ここまでMECEで考えることの必要性について説明してきました。MECEに考えることは、何も複雑なことを考える時だけでなくビジネスシーンで相手とコミュニケーションを取る時にさえ必要なベースの考え方です。次のような日々のコミュニケーションにおいても、MECEに考えられていないことは思った以上に多いのではないでしょうか?

業務報告者であるあなたが、上司に報告するシーンを思い浮かべてください。

検討漏れを懸念される例

上司から今月の旅行申し込み件数が前年比でどのように推移したのかを聞かれました。

「今月の旅行申し込み件数は、

  • 個人顧客の海外旅行申し込みは前年比10%増
  • 個人顧客の国内旅行申し込みは前年比10%減
  • 法人顧客の海外旅行申し込みは前年比20%増
  • 全体では前年比10%減

 でした。」

この報告だと法人顧客の国内旅行申し込みが前年と比較してどうだったのかが分かりません。上司は「確認が漏れているのか?」「増減がなかったため報告する必要がないと判断したのか?」を判断することができません。また、全体とそれぞれの顧客群では階層も異なっているため、きちんと分けて報告すると上司に確認漏れを懸念されることを防げます。

「今月の旅行申し込み件数は、

  • 全体では前年比10%減

 顧客群ごとの内訳は

  • 個人顧客の海外旅行申し込みは前年比10%増
  • 個人顧客の国内旅行申し込みは前年比10%減
  • 法人顧客の海外旅行申し込みは前年比20%増
  • 法人顧客の国内旅行申し込みは前年比±0%

 でした。」

と報告することで、確認漏れを心配されることを防ぐことができます。

階層が混ざっており正しい情報が伝わらない例

今期の国内旅行の行き先でどこの人気が高いのかを質問されました。

「今期の国内旅行の人気旅行地は

  • 北海道地方
  • 東京
  • 関西
  • 沖縄

 です。」

この報告だとなんとなく意味は通じる気はしますが、階層が混ざっており、地方別を話をしているのか?都道府県別の話をしているのか?が分かりません。階層をきちんと示して伝えることで、不要な混乱を回避できます。

「今期の国内旅行の人気旅行地は

 地方別に見ると、

  • 北海道地方
  • 関東地方
  • 関西地方
  • 沖縄地方

 です。

 各地方内の都道府県別で見ると

  • 北海道
  • 東京都
  • 大阪府
  • 京都府
  • 沖縄県

 が人気です。」

と階層を分けて伝えることで、地方ではどのエリアが、その中でも都道府県ごとで見るとどこが人気なのか、が分かりやすくなります。

切り口が揃っていない、かつ切り口の意図が不明で不要な疑問を生む例

今期の個人顧客群の予約者の特徴について質問されました。

「個人顧客については、既婚男性・未婚男性の申し込みが増加し、女性の申し込みが減少しています。」

この回答だと、男性は既婚と未婚に分け、女性は分けていないことに対し、「女性は既婚を指すのか?未婚を指すのか?もしくは既婚と未婚に分けるのが漏れたのか?」が分かりません。また、「男性を既婚と未婚に分けたということは、その2つに何か差があるのか?」と受け手には新たな疑問が生まれてしまい。

「個人顧客については、

男性の申し込みが増加し、女性の申し込みは減少しています。」

で、上司の質問に一つ答えたことになります。また、既婚と未婚で差があるのであれば下記のように補足しましょう。

「また、男性は未婚男性よりも既婚男性の申し込み単価が高いです。申し込みが減少している女性も既婚と未婚に分けると同じことが言えます。今期は昨年と比較して、ゴールデンウィークに長い連休が取りやすい日取りだったため、家族旅行の申し込みが増えたからです。」

とすると、性別に加えて既婚/未婚の切り口を加えた意図が明確になり、不要に疑問が増えることがありません。

MECEは日々のコミュニケーションにも重要

例で見てきたように、日々会社で行われる”報連相”においてもMECEの考え方に基づくことで、コミュニケーションが円滑になり、かつ、業務上重要な対応を重複なく漏れなく進めることができます。自分が伝えようとしていることは、その伝え方で本当に正しく伝わるのか?疑問は生じないか?と日々振り返ることがMECEに考えるための初めの1歩と言えるかもしれません。

終わりに

MECEに考えることは本来の目的ではありません。MECEに考えることは、「重複なく漏れがない」ように全体を把握することで、「より効率的に物事を動かすための手段を網羅的に検討する」ための手段なのです。「重複なく漏れがない」という思考を癖づけることで、より広く全体を俯瞰して捉えることができるようになるのです。

社内での研修など検討されている方へ

ここまでMECEについて解説してきました。

Conemagaを運営している株式会社てがかりは営業職に特化したキャリア相談や研修設計、企画部門のコンサルティングなどを展開しています。

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